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2.「プルトニウムを取り出す」とは(更新版)

更新日:2021年8月30日



 プルトニウムと言うと,みなさん長崎型原爆の材料だと連想するかもしれません。だが、「原子力発電所で4年位運転しているうちに、初めは核分裂しやすいウラン235を燃やしているのですが、核分裂しにくいウラン238が少しずつ核分裂してプルトニウムに変わって発電に寄与していますよ」というのが原子力推進側の話です。「3年から4年して取り出した使用済核燃料の中にはプルトニウムとウランがそれなりに残っている」という言い方をして、「これを再処理して取り出すんです」というのが彼らの主張です。

 ウラン燃料は天然ウランを濃縮して作ります。ウラン燃料の材料となるウラン235は、もともとの天然ウランには0.7%しかないわけです。これを六フッ化ウランに転換してウラン濃縮工場で濃縮して3%~5%に変えて、それを金属ウランに再転換し、ペレットにしてから、燃料棒に装荷してから原発に挿入して運転していきます。この中でさっき言ったような変化をして、最終的には使用済核燃料という形で出てきます。その中にはプルトニウムが約1%、回収ウランが約95%(燃えやすいウラン235が約1%、燃えにくいウラン238が約94%)、核のゴミが約4%が含まれます。



「MOX燃料」とは。そして「MOX燃料」を燃やした後は

 戦時中に核兵器開発を目指したことのある日本では、再処理工場で抽出したプルトニウムを単体で取り出せないので、同量の回収ウランと混ぜた濃度約50%のMOX燃料として取り出します。これを、これから作るMOX燃料加工工場で金属ウランと混ぜて、プルトニウムを4~9%の濃度に加工したものが原子力発電所で使うMOX燃料です。これを3分の1炉心まで装荷して原発で燃焼するのをプルサーマルと呼びますが、日本でそれをやっている原発は4か所しかないそうですが、そういうものに使うんですよと言っています。

 もともとはこのMOX燃料の濃いものを高速増殖炉に入れて、回収ウランとかウラン濃縮工場に貯まっている劣化ウラン(濃縮ウランの残り)ものを突っ込んで燃やしていくと、それもプルトニウムに変わるということで、効率がいいと言われたのです。しかし今はそれが出来ないので、このMOX燃料の使い方が問題になっています。

 つい最近まで、使用済みMOX燃料の管理期間は数十年と言われていましたが、最近100年とか300年とかいう話も出てきました。それで、とても使用済みMOX燃料は普通の原発で再処理は出来ませんよ、というのが、もう経済界も原子力推進側も認めるような話になっています。実はこのMOX燃料とウラン燃料の値段の違いは、ウラン燃料が全体で1億円だとすると、MOX燃料の方は30億円かかるというとんでもないお金がかかるということが分かってきました。これは非効率なわけですが、六ヶ所再処理工場から出て来るものを燃やさないといかん、ということで原子力推進側が進めようとしているのが今の現状です。

 これもウラン資源の有効利用の一つで、普通の原発の場合はウランの有効利用率として0.55%しか使わないんだけれども、高速増殖炉は約60%有効に使う。プルサーマルの場合は、0.75%で、普通の原発の場合よりも0.25%増えますよ、ということです。

 しかしプルサーマルの場合は1回だけのリサイクルということで、何回もリサイクルできるわけじゃありません。そういうことなので、とりあえず、普通の原発とプルサーマルの選択肢しかないよというのが現状です。だから再処理をする意義はないのですが、プルサーマルをするには再処理しなきゃいけないので、まあ「使える資源を取り出す」という言葉になっているというわけです。

 前回も述べたように、最近になって使用済MOX燃料を再処理する技術を開発するという話がありますが、フランスから再処理工場の技術を買うような日本の原子力技術ですから、日本独自でそのような研究開発をしたところで、ドブにお金を捨てるようなものではないかと思いますね。このお金の話は、後で詳しく触れたいと思います。




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