今まで青森県下北郡六ヶ所村にある六ヶ所再処理工場の問題で、30年以上も色々取り組んできましたが、初めて見学する方々には、やっぱり完工延期(建設開始から27年も経っていて)というのは非常に意味がある話でしょう。昨年、完工が2022年に延びたということで、それを中心にお話ししていきたいと思います。
六ヶ所再処理工場は、日本の核燃料サイクルの中心施設ということで、原子力発電所でウランを燃やす過程で生じるプルトニウムをエネルギー資源に使いたいというプルトニウム利用の計画から始まっています。これが昔の高速増殖炉です。そのような計画の実現を、世界中が目指して、日本はその頃プルトニウムの利用に関しては、ずっと後進国でした。
ところが、核兵器開発国がプルトニウムのエネルギー開発の実現が困難だということから、その開発計画に見切りをつけたものですから、知らないうちにその実現を図る国が少なくなって、日本が先進国という風に、変わっていったのでした。要するに、100メートル競走で一番遅れていたのに、他のランナーが棄権を始めたものですから、なぜか日本が先進国のようになっただけに過ぎない。しかも、まだプルトニウムの技術的なことが分かってもいないのに、トップランナーと煽てられているだけの話しである。
高速増殖炉を目指した当時は、ウラン資源がたった60年分くらいしか埋蔵量がないということで、それを一旦海外から輸入し、原発で燃やして使い終わった後に再処理する。再処理した後の燃料を高速増殖炉というところで使えば、ウラン資源を50倍有効に使えるので、3000年先までエネルギーに困らないという夢のお話がありました。高速増殖炉の「もんじゅ」は原型炉で、ちゃんとした商業炉は世界的にも出来ていないのですが、一応それが狙いで日本のエネルギー政策はいつも高速増殖炉を実現するという話になります。ところが今は「もんじゅ」が廃炉となり、この夢物語がなくなって、ここから上が今皆さんが関心のある核燃料サイクルということで、今、日本原燃のPRセンターに行っても、この下はもう書いていません。
ただ、根っこにはこの計画があって、今から50年先だったらば出来るんじゃないですかということが、原子力推進側と自民党などがまとめているエネルギー基本計画に出てきます。
しかも、2021年になって、それまでは話題にも上らなかったが、最近になって使用済MOX燃料の再処理をするにはどうしたらいいか、研究してみたいという話が出て来た。しかも、その研究プランは紙ベースでの海外の実験報告書を集めて見ようかというくらいの、実に実現不可能なものである。要するに、日本は使用済MOX燃料の再処理をしたことがないことを天下に示すというものである。そのようなレベルの日本の原子力技術レベルで、今もって50年くらい先になら高速増殖炉が実現できるのではないかと言われても、実現性は薄いとしか思えないね。
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