追記:2020年11月18日、原子力規制員会に日本原燃の増田社長が招かれ、「⽇本原燃における安全性と技術⼒向上の取組み」というパワーポイントで説明を行った。その資料の中の13ページには、現在六ヶ所再処理工場に残っている溶液、廃液の量が示されている。
現在、洗浄液、⾼レベル廃液等が主流路上に存在。
● 機器個別の単体動作確認や系統の起動前確認等による設備確認、運転⼿順検討を実施
したうえで、使⽤済燃料のせん断により新たに発⽣する溶液・廃液を受⼊れる余地を確保するため、しゅん⼯後せん断開始前までにこれらの溶液・廃液の処理運転を実施予定。
以下に、取り出してみる。
処理前後の溶液・廃液量
溶液・廃液 処理前 処理後※2
① 試薬
(硝酸ウラナス) 約 10㎥ ①~④で数㎥
② Pu濃縮液、
U・Pu 混合溶液 約 2㎥
③ 洗浄液 約180㎥
④ 分析廃液 約 10㎥
⑤ ⾼レベル廃液 約200㎥ ※1 約100㎥
※1︓冷却・攪拌機能上、払い出せない量を含む
※2︓最⼤量処理した場合
過去にアクティブ試験を行い、約425トンの使用済核燃料を再処理したので、既に回収ウランとMOX燃料を一定程度取り出した(回収ウランを約366トン、濃度の濃いMOX製品を約6,658㎏)後に、これだけの溶液と廃液が工場の中に蓄えられている。
特に気になるのは、高レベル放射性廃液を「冷却・攪拌機能上、払い出せない量を含む」という所である。高レベル放射性廃液は1つの貯蔵容器で冷却貯蔵されているわけではなく、いくつもの貯蔵容器の中で冷却されている。中身を取り出してしまうわけにはいかないのは、他の配管等と同じ理由(劣化・脆化が始まる)であるが、もしかしたら再処理工場が存続している間は、約100㎥の高レベル放射性廃液が常に貯まった状態でいるということかもしれない。
約100㎥の高レベル放射性廃液が常に貯まっているなら、その漏えい事故が起きた時の想定も考えて置く必要があるが、それはまた別な所で述べることにしたい。
なお、この処理工程の開始は、再処理工場の操業開始後とあるのだが、再処理工場の完工確認のための使用前使用者検査が行われることになる。その際に、長年停止状態の高レベル放射性廃液のガラス固化工程を動かしてみることになるのだろう。その時に、実際の廃液をガラス固化試験するには、模擬の廃液を使うのではないようだ。
なぜなら、現在貯蔵されている高レベル放射性廃液が約211㎥なのに、それが約200㎥と表記されている。この約11㎥がガラス固化試験に使うつもりであろうから、六ヶ所再処理工場からの放射能放出は完工前に再度始まることになると予想される。
仮に試験のためのガラス固化が始まれば、事業者が微量と言い切るが、気体・液体の放射性物質が環境中に漏れ出る。その汚染実績を私達が知るのは、青森県と事業者が調べている数字を数か月後に「モニタリング通信」が公表されないと分からない。
だからこそ、自家用の放射線測定器で放射能拡散の事実を知ることが必要になる。
なお、六ヶ所再処理工場で働く人々が安全対策工事をする際には、あらゆる場所で被ばく作業に従事することになるのだろうが、その対策がしっかり取られているかが気にかかる。
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