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解説3:ウラン濃縮工場

更新日:2021年5月22日

           *ここに掲載している写真は日本原燃㈱のHPより引用しました。




1.事業計画の説明

 1年目に150トンSWU/年の工場を一つ作り、毎年増設していく予定でした。1つの工場は10年間無停止で運転し、10年目には1,500トンSWU/年まで増やします。11年目には最初の工場が運転停止されますが、毎年1,500トンSWU/年を維持するということでした。つまり、毎年増設が続くという説明でした。

 なお、ウラン濃縮工場で扱うのは六フッ化ウランで、化学式 UF6 で示される化合物です。常温では固体だが、約 56.5 ℃ で昇華して気体になります。

 そこで、輸送容器を温めて、気体になった六フッ化ウラン(ウラン235が約0.7%、残りはウラン238)を遠心分離器にかけ、中心部に集まるウラン235の比率を高めた気体を連続的に濃縮して、天然ウラン濃度0.7%を約3~5%の濃度に高めるのが濃縮工場の役割です。

 この際に、ウラン238が大量に残りますが、この中にはウラン235が約0.2%残っていて、これを劣化ウランと呼んでいます。

 ただし、高速増殖炉の時代が来れば、この劣化ウランをプルトニウムの増殖に使う計画がありました。今は、再処理工場から抽出したMOX燃料(プルトニウムの濃度50%)を原発で使うMOX燃料(プルトニウム濃度4~9%)に薄める希釈材として使うことが計画されています。どちらの使い方でも、六フッ化ウランを再転換する必要があります。そのために、再処理工場から出るMOX燃料の自由度を高めるため、再転換工場を六ヶ所村の核燃サイクル施設に建設プランがあったが、今は再処理工場が動かないので、そこまでの必要性が求められていないようである。

 なお、六フッ化ウランが輸送中に自動車事故に巻き込まれて環境に漏れ出た場合、半径2㎞四方に六フッ化ウランが漏れ出て、気体中の水素と反応して六フッ化フラニルとなり、それを吸い込んだら絶命するということを大井ふ頭から六ヶ所村までの天然六フッ化ウランの最初の陸送開始前に教えられました。その後、海上輸送に変わりましたし、最近は濃縮そのものが行われていないので輸送中の事故は心配ないと言いたいし、皆さんもそう思いたいでしょう。

 ただし、実は濃縮したウランの輸送は東海村までの陸上輸送ですので、濃縮事業が始まれば同じ事故がいつ、どこで起きてもおかしくない。しかも、核物質の輸送情報はテロ対策上、事後の公開が原則とされているので、濃縮ウランの輸送が終わってから私達は知らされているのです。つまり、何も情報を伝えられないで事故が起きた場面に出くわしたら、半径2㎞圏内で六フッ化フラニルを吸い込まないようにすることはほぼ不可能ではないでしょうか。輸送周辺住民の命を犠牲にしてでも、ウラン濃縮事業をしなければならないものなのでしょうか。

 なお、岡山県の人形峠・ウラン濃縮工場に残っている六フッ化ウランを、今後原子力事業者に処分するという報道がありましたので、この六フッ化ウラニルの噴出事故事例は青森県から茨城県までの陸路だけでなく、岡山県からの陸送でも起きるかもしれません。







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