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解説1:新しい核燃料のサイクルについて


ウランの採掘から始まって、原子炉の中で燃焼し、再処理を経て、それから発生する製品と高・低レベル放射性廃棄物の貯蔵管理までの流れを示します。

それがどのようになっているかを知ることは、核燃サイクル施設の付帯施設の役割を理解することにも好都合と思われますので、一連の流れを簡単に拾って、問題点についても示してみたいと思います。


① ウラン鉱山    ウラン鉱石を採掘          

② 精製工場      ウラン鉱石から取り出した天然ウラン(ウラン235が約0.7%、   

残りはウラン238が約99.3%)をイエローケーキに精製。

③ 転換工業     イエローケーキを濃縮工場で使うために六フッ化ウランに転換。

以上は海外です。

以下は日本にありますが、今は原発用のウラン燃料が安いので、日本でウラン濃縮する必

要があるのかは大きな疑問です。但し、国産技術にこだわる業界と将来の核兵器開発の技術を保持したい面々との思惑が合致しているのかもしれません。


④ ウラン濃縮工場  0.77%のウラン238を3%~5%に濃縮。濃縮して残った六フッ化ウラ  

           ンを劣化ウランと呼ぶがウラン235が0.2%、ウラン238が約99.

           8%残っている。 

           高速増殖炉を運転する際には、このウラン238がプルトニウムを製造 する材料となる。その高速増殖炉が先送りされているので、今はこ れを再転換して金属ウランに変えて、MOX加工工場に運び、再処

理工場から出て来る濃度の濃いMOX燃料の希釈材に使うとされて

いる。

⑤ 再転換・加工場  濃縮された六フッ化ウランを二酸化ウラン粉末に転換して加工し、  

           燃料ペレットに焼き固めて燃料棒に収める。

⑥ 原子力発電所   ウラン235を3%~5%に濃縮したものに中性子を当てて核分裂反応を起

こし、その状態をコントロールしながら、熱を取り出して蒸気を発

生させてタービンを回して発電をします。

タービンを回して発電するところは,水力発電所や火力発電所、風力 発電所と変わりがない。ただし、原子力発電所の運転で大量の熱が

海に放出されます。約3分の一が発電に寄与し、残る3分の2が海に捨 てられています。

     ここまでをアップロードと言います。


⑦ 使用済核燃料処分施設

           再処理せずに処分することをワンススルー方式と言い、ウラン資源 が豊富なアメリカで採用されています。特に手を加えずに放置冷却 

           する方が放射能汚染が少ないと言われています


以下をダウンロードと言い、ウラン資源を大事に使うしかない国がそれを目指したの

が、高速増殖炉でした。

しかし、今も尚それに拘っているのは日本と、インド、中国、ロシアです。


⑧ 再処理工場     使用済核燃料を硝酸で溶かして、約1%のプルトニウムと約95%の 

           回収ウラン(ウラン235の濃度が約1%)、約4%の核のゴミに分離 

           して取り出す。運転の過程で海と大気に放射能をまき散らし、万が

           一の事故の際には、地球上の4分の一くらいに人が住む場所がなく

           なる危険性を持っている。

 以下の⑨~⑪は、回収ウランの中に核分裂を制限する核種が混じることが分かり、実際に行う必要が薄れている。

⑨ 再転換工場    回収ウランを六フッ化ウランに再転換して、濃縮工場で使えるよう

           に加工する。

⑩ 再濃縮工場    回収ウランを濃縮し、原発の燃料に使う予定だが、回収ウラン自体

の汚染度が高いので、濃縮機器の汚染が高まる懸念がある。

⑪ 再々転換工場   濃縮したウランを二酸化ウラン粉末に加工。

⑫ MOX加工場   日本は戦時中に核兵器開発を手掛けたことがあるので、核兵器保有

国は日本の核兵器開発を懸念している。その結果、再処理工場でプ

           ルトニウムを単体で取り出すことを認めす、回収ウランと混ぜたM

OX燃料での抽出を認めた。

このMOX燃料はプルトニウムが約50%であり、ここにウラン濃縮

工場に残っている劣化ウランを二酸化ウランにしてから加えて、プ ルサーマル原発用のMOX燃料に加工する。

⑬中間貯蔵施設    むつ市に建設中の使用済燃料中間貯蔵施設は、計画立案当時の原発 

           運転で毎年約1000トンの使用済燃料が生じるのに、六ヶ所再処

理工場は年間800t再処理するので、残る200トンを貯蔵する

計画であった。これを25年間貯蔵するとなれば、約5000トン

を貯蔵するというので計画された。

所が六ヶ所再処理工場が順調に運転できないので、各原発サイトで

           も使用済燃料の乾式貯蔵を始めざるを得なくなっている。

むつ市の使用済核燃料貯蔵施設はトータルで5000トンを50年

           間貯蔵する計画だが、貯蔵開始から50年後に全部を排出する計画

であるが、持って行くべき六ヶ所再処理工場にそれだけのものを貯

蔵する能力がない時は、発生元の電力会社に返すという。

⑭ 低レベル放射性廃棄物埋設施設

           原子力発電所で発生する雑多な核のゴミを、200ℓのドラム缶に入れ て集積管理するために六ヶ所村に作られた。深さ12メートルの穴を

掘り、6メートルの高さのピットを作ってドラム缶を横にして並べ

て、モルタル充填した後に、覆土して最終的には300年間管理し、

300年経過後でもその上に住むことは出来ない。

⑮ 高レベル放射性廃棄物一時貯蔵施設

          再処理工場から発生する核のゴミのうち、特に高レベル放射性廃液

           をガラスと固めたガラス固化体を、青森県との約束で30年~50年間 一時的に貯蔵する施設。

ちなみに、ガラス固化体の放射能が強く、人が近づくことは厳禁で

ある。

⑯ 最終処分場    高レベル放射性廃棄物等を深さ約300メートル以下の場所に埋める。 その候補地探しが現在行われているが、日本は活断層だらけである ので、その適地探しに難航している。

現在、寿都町と神恵内村で文献調査が行われているが、もっと沢山

の自治体から文献調査に名乗り出ることを原子力発電環境機構(ニ

ューモ)が希望しているようだ。


以上が現在考えられている核燃料サイクルである。

次には、青森県に計画された核燃サイクルの施設について、解説します。



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