核燃料サイクルに関連した3施設、ウラン濃縮工場、低レベル放射性廃棄物埋設施設、再処理工場が核燃サイクル三点セットとして電気事業連合会が青森県の下北郡のどこかに建設したいと申し出たのでした。
ですから、青森県民の多くは、それが核燃三点セットという風に、私達は勝手に思い込まされていたのではないかとの疑問をこの頃感じます。
核燃料サイクルを進める側の電気事業連合会が1984年7月に発表した事業の概要書を紐解くと、別な側面が見えて来るでしょう。
1.再処理施設関連
① 使用済燃料受け入れ貯蔵プール 当初3000トンなので、増設可能
② 再処理施設 800トン規模だが、増設可能
③ 高レベル廃液ガラス固化施設 再処理の付帯なので、増設可能
④ ウラン転換施設 回収ウランの再転換施設
⑤ プルトニウム転換施設 MOX 燃料加工も予定されていた
⑥ 製品貯蔵施設 海外変換製品を含む
⑦ 低レベル廃棄物処理施設 再処理の付帯なので、増設可能
⑧ 廃棄物貯蔵施設 海外返還廃棄物6万本を含む高・低レベル
2.濃縮施設関連
⑨ 濃縮施設 将来は転換(イエローケーキを六フッ化ウラン
に)・再転換(六フッ化ウランを酸化ウラン)も設
置可能
3.低レベル放射性廃棄物貯蔵施設 300万本の低レベル放射性廃棄物を最終貯蔵
これらを総称して原子燃料サイクル三事業と推進側は言って来た。そのことを、私達が勝手に3施設だけと勘違いしてきたかもしれない。
つまり核燃サイクル施設三点セット、ウラン濃縮工場 低レベル放射性廃棄物埋設施、設再処理工場に加えて、今は海外返還の高レベル放射性廃棄物一時貯蔵施設とMOX 加工工場が六ヶ所村での事業となっている。この後に、様々な施設が計画されているかもしれないことに、私達は警戒感を持っておく必要がありそうだ。余裕深度(70メートルの深さに埋設)廃棄物埋設施設も計画されているので、六ヶ所村に決定される可能性が高い。
何しろ広い土地なので、ほぼ全ての施設が増設可能としていることには注意が必要だろう。勿論、技術的な裏付けがないままで、お釈迦になる計画もあるだろうが、海外返還製品(プルトニウム)とか廃棄物(高・低レベル)も集積するとなると、核防護上の重要拠点となりかねない。
たまたま六ヶ所再処理工場の完工が約24年間も遅れているので、電気事業連合会の方が当初計画の実現を懸念するようになっているだけかもしれない。もし、完工が24年間も遅れずに、順調に操業していたら、800トン×24年で、約192,00トンを再処理していたかもしれない。そうすれば、各原発サイトに使用済燃料が溢れることなく、中間貯蔵施設を用意するなどは必要がなかった。但し、192トンのプルトニウム(MOX燃料なら約384トン)を抱えてしまって、他国から厳しい目で見られていた可能性が高いけれども。
その途中で高速増殖炉・原型炉「もんじゅ」が止まったとしても、プルサーマルの推進を旗頭にして、再処理施設関連施設の立地が打診されていたかもしれない。
もっとも、そのように再処理工場が運転されていれば、六ヶ所再処理工場からの莫大な放射性物質が気体と海洋に放出されて、先ずは太平洋沿岸の海産物が消費者に敬遠され、次に太平洋沿岸の畑作物が不買となり、ついには津軽地方のリンゴ、米等が風評被害で買って貰えなくなっていただろうから、三村知事がトップセールスであちこちに出かけることもなかったと思われる。その上に、子ども達の野球やサッカー、運動会が出来る場所は、体育館内とかドーム内でしか行えなくなっていたかもしれない。これは、私達が六ヶ所再処理工場のアクティブ試験開始に際して懸念したことであった。
そうならなかったことで、私達はまだ青森県産品の食品を食べることに抵抗がないが、再処理工場が動き出したら、そうは言ってられなくなるし、更に関連施設がどんどん建設されることになるかもしれず、あらゆる核のゴミが六ヶ所村に集中することになるだろう。
それをさせないためには、やはり六ヶ所再処理工場の運転にブレーキを掛けるしかないのだ。そのために、今まで以上の力を注いで頑張ろう!
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